テキスト ボックス: 「ディベート的ビジネス文章の書き方」
 トピック・センテンス

段落の最初の文をトピック・センテンスと呼びます。

 

日本の学校では、大学教育を含め、このトピック・センテンスの書き方をちゃんと教えていないことが問題だと思います。

 

 

トピック・センテンスとは、段落の最初の文章のことです。

 

トピック・センテンスでは、その段落で書き示すことのまとめを書くことになっています。

 

つまり、「この段落ではこうした内容を論じますよ」と最初に宣言するのです。

 

そして、トピック・センテンスに続く文章は、このトピック・センテンスで宣言した内容を詳細に書いていくのです。

 

 

このトピック・センテンスが大切なのは、段落を読むときに「今から説明することはこういうことです」と宣言をしてあるので、読み手にとって内容を理解するのが大変容易になるのです。

 

またこれが、「論理的」であるか「論理的でない」かの分かれ道になっているのです。

 

 

このルールは欧米では通常守られていますが、残念ながら、日本では往々にして守られていないのです。

 

 

では、具体的な例を見て見ましょう。日本人である、国際問題評論家の古森義久氏が書かれた、次の文章を読んでください。

 

 

「中国の衛星破壊で米国は大ショック

 

A)中国のこの1月の衛星破壊実験は米国を一気に硬化させた。中国がひそかに開発してきた衛星攻撃兵器(ASAT)を発射して、はるか上空を回る気象衛星を 破壊したことは米国の官民に衝撃を与え、対中政策の見直しまで迫る結果をも招くこととなった。日本にとっての影響も深刻である。

 米国上院共和党の有力議員ジョン・カイル氏は1月29日、ワシントンで「中国の衛星攻撃兵器と米国の国家安全保障」と題する緊急演説で次のように述べた。

 「宇宙の安全は米国にとって致命的な国家安全保障であり、その安全が脅かされることは米国の安定そのものが危機にさらされることとなる」
 「中国は米国の防衛の戦略的中心が宇宙や人工衛星に置かれていることを熟知して、その破壊を意図し、実際の破壊能力を高めていることを今回の実験で立証した」

 (B)現代の人間はどれほど人工衛星に依存しているのか。携帯電話や自動現金預入払出機(ATM)に始まり、自動車の運転案内のためのカーナ ビから株式のネット取引、金融市場の運営まで、いまの人間の生活の多くが人工衛星に密接にからみ、頼っている。その衛星システムが一気に破壊されてしまう となれば、人間の生活も同様に一気に破壊されるという恐ろしい展望を今回の中国の衛星破壊という行為は突きつけたのだった。

 人工衛星は船舶の航行や鉱物資源の探査にも不可欠の役割を果たす。軍事面での衛星依存の度合いも測りしれない。特に軍事超大国の米国は各種の衛星に頼る軍事態勢を構築してきた。

 カイル上院議員の言を再び借りよう。

 (C)「人工衛星は我が米国の軍事優位を支えている。米軍の部隊は偵察、通信、航行その他のミッションに関して衛星に依存している。現在、開 発を進めている新鋭の軍事兵器システムもすべて衛星依存の度合いが高い。米軍のいかなる作戦も、通常、戦略、ミサイル防衛のいずれを問わず、宇宙依存の部分なしには機能できなくなっている」

 中国が成功裏に実験を果たした衛星攻撃兵器は、その宇宙依存の部分を破壊する、というのである。軍事超大国の米国にとってのショックが大きいのも当然であろう。」(日経BP社 外交弱小国日本の安全保障を考える〜ワシントンからの報告〜、但し、(A), (B), (C)は私が追記しました)

 

 

まず、欧米の「論理性」を見てみましょう。

 

 

カイル上院議員の言葉を中で引用していますので、その引用(C)を見てみましょう。

 

トピック・センテンスは「人工衛星は我が米国の軍事優位を支えている」ですね。

 

その後の文章を読めば、確かに「人工衛星は我が米国の軍事優位を支えている」ことについて、説明があります。

 

カイル上院議員は、このトピック・センテンスの約束をちゃんと守っていますね。その為、内容がスムーズに頭に入ってきます。

 

 

次に、日本人が書くとどうなるかを見てみましょう。

 

 

まず、(A)を見てみましょう。トピック・センテンスは「中国のこの1月の衛星破壊実験は米国を一気に硬化させた」ですね。

 

ということは、この文章では「米国」について書くことになります。

 

ところが、この段落の最後の文章は、「日本にとっての影響も深刻である」となっています。

 

これが、問題なのです。

 

つまり、読者は、トピック・センテンスから「ああ、米国について書くのだな」と思って、読んでいくのです。ところが、最後に「日本にとっての影響も深刻である」とあるので、「あれ、日本のことを論じたかったのかな」と混乱してしまうのです。

 

これが、日本人は「論理的でない」といわれる、原因のひとつなのです。

 

 

別な例(B)を見て見ましょう。

 

トピック・センテンスは「現代の人間はどれほど人工衛星に依存しているのか」ですね。

 

ということは、この文章では「どれほど人工衛星に依存しているのか」について書くことになります。

 

ところが、この段落の最後の文章は、「その衛星システムが一気に破壊されてしまう となれば、人間の生活も同様に一気に破壊されるという恐ろしい展望を今回の中国の衛星破壊という行為は突きつけたのだった」となっています。

 

この場合も、(A)と同様に、読者は混乱してしまいます。

 

「どれほど人工衛星に依存しているのか」と「人間の生活も同様に一気に破壊される」のどちらを論じたいのが分からないのです。

 

欧米人がこの文章を読んだら、「何をいいたいかわからない」、日本人は「論理的でない」と一喝されてしまうことでしょう。

 

 

有名な評論家でさえ、このような状態なのです。一般の人が書く文章は、どのような状態か、察しがつくといえます。

 

 

以上のように、欧米ではトピック・センテンスの書き方を守っているので、「論理的」と言われ、日本の文章は「非論理的」と言われてしますのです。

 

 

是非、皆様はトピック・センテンスの書き方を守って、「論理的」な文章を書いてください。

 

 

さて、理論編が終了しました。次は、基礎編をご覧ください。

 

 

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